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SWC事務局より

健康増進のまちづくり探る

現代の医療費は約6割が生活習慣病に関連しているという。「健康保険はそもそも相互扶助の精神で構築された。なのに今は健康づくりに努力している人が、努力していない人を支えるおかしな仕組みになってきている」

こうした現状に「今、手を打たなければ少子高齢化と人口減少の影響も受けて日本全体が崩れてしまう」と懸念を抱く。

ベンチャー企業の社長として全国約五十の自治体で健康増進事業を請け負い、知り合った市長のうち、市民の健康づくりに特に熱心で危機感を共有する十人に呼びかけ、健康政策をまちづくりの基本に据えるための研究会を発足させた。

バリアフリー政策は障がい者やお年寄りのためのものだが、実際には無関係の人がエレベーターやエスカレーターを使用。コミュニティーバスの路線は便利さを追求し、健康増進に反している。

「自治体の健康部局が単独で考える健康事業が、まちづくりのさまざまな施策と相反している。この矛盾を浮き彫りにして解決策を導きたい」と話す。

健康教室の参加者は相対的に健康度が高い。「健康づくりが本当に必要な人に参加してもらうための方法は、世界でも解明されていない。研究会で道筋が付けられれば、大きな貢献になる」と意義を強調する。

人々の意識を変える手段として、個人の健康づくりの努力を数値化し、得点に応じて保険料を引き下げる仕組みづくりや、運動の継続を条件としたプレミアム付き商品券など、さまざまなアイデアを温めている。

「三年間で科学的根拠を持って提言できる施策を具体化したい。健康づくりは終わりのない厳しい戦いだが、自治体が一致団結すれば大きな力になる」

研究会に加わる県内唯一のつくば市については「学園都市周辺は遊歩道が整備されていて、社会実験をするにはすごくいい環境。環境都市の取り組みとも政策の方向性が合うと思う」と期待している。

東京新聞【茨城版】 2009年11月29日より