「成果連動型の自治体飛び地連携・健幸ポイントプロジェクト」成果報告会を開催
- samata75
- 8月1日
- 読了時間: 3分
更新日:8月19日
社会保障費の適正化、そして地域のウェルビーイング最大化を
当研究会が主催の「成果連動型の自治体飛び地連携・健幸ポイントプロジェクト成果報告会」を7月31日、筑波大学東京キャンパスとオンラインでハイブリッド開催しました。当日は、現地参加者約30名とオンライン参加者約200名にご参加いただくこととなり、1時間半にわたる報告会を聴講いただきました。
最初に登壇した、筑波大学大学院・久野譜也教授がまず強調したのは、一般的に “ 健康無関心層 ” とされる人々に「どのように行動変容をおこしてもらうか」。そのためには事業開始時に、参加者のセグメントを把握することが必須であると述べました。

冒頭に登壇した筑波大学大学院・久野教授
続いて、事業の効率化についても言及しました。DXを活用し、地域をまたいだ「飛び地」方式で運営すればコストを削減でき、参加人数が増えれば増えるほど一人当たりのコストは低減。こうした方法により、規模や財政格差に関係なく、どの自治体でも事業を実施できる環境が整うと語りました。また、他市町と同じ目標を共有することが、事業推進の壁を破る力にもなると強調しました。
久野は一方で、現状の課題にも触れました。全国で8割以上の自治体が健康ポイント事業を導入しているにもかかわらず、事業評価を行う自治体は限られており、せっかく費用をかけて事業を展開しても、社会保障費の抑制効果が十分に得られずに事業を終えてしまう自治体が少なくないという現実について言及しました。

久野教授の講演を熱心に聴講する現地参加者
また、事業の効果を出す要因として、高齢者の事業参加の重要性を指摘しました。特に後期高齢者の参加は、医療や介護保険に関わる自治体の一般財源に大きなメリットをもたらすため、自治体ごとの課題に応じた参加対象者の設定が効果を左右すると述べました。
講演の中盤では、成果を出すためのポイントとして年間医療費の差を生む“分岐点”となる歩数がデータと共に示され、歩数が上がらない“低空飛行層”の底上げが効果の鍵であると説明。そのうえで、継続的な歩数向上につなげるためのポイントについても、データを示した上で説明しました。また、健康効果は貯金できず、継続がなければ無駄になること、医療費抑制効果を得るには3年の継続が必要であることも語られました。
さらに、事業の継続によって生まれる“口コミ効果”にも言及。事業1年目は健康関心層が多く参加するが、2年目以降は口コミにより無関心層の参加が増えることが示されました。
最後に久野は、歩数の増加が健康増進や意欲の向上、さらには幸福度や生きがいの向上へとつながる好循環が生まれると述べたうえで、健康施策は疾病予防の対策のみならず、地域の人々が生きがいを感じられる人生を支える“ウェルビーイングの最大化”を目指すべきだと締めくくりました。

健幸ポイントプロジェクトの政策効果を紹介する久野教授
次に登壇した、サービス提供事業者・㈱タニタヘルスリンクの土志田敬祐代表取締役社長からは「はかる→わかる→きづく→かわる」をコンセプトとした「からだカルテ」によるデータ収集・可視化の仕組み、行動変容に寄与するポイント付与設計、それらによる歩数向上実績などについて説明。
そして本プロジェクトの参画自治体である新潟県見附市・千葉県白子町・京都府八幡市・埼玉県美里町・福岡県飯塚市・奈良県田原本町・鳥取県湯梨浜町の自治体職員より、各市町の取組の特徴や成果、さらに実践する上でのコツや工夫事例等について報告されました。
本プロジェクトでは、第7期プロジェクト組成に向けて参画自治体を募集しております。
より詳細な内容についてのご説明も可能です。どうぞお気軽にお問合せください。